【不動産投資】不動産賃貸業向け融資では事業計画書が必要!?メリットや書き方も解説!

この記事では、不動産投資向けの融資で事業計画書が必要な理由やメリット、さらに具体的な書き方まで解説します!

不動産賃貸業をはじめとした、いわゆる不動産投資の世界では融資(不動産ローン)を受けられるかどうかが生命線です。

不動産投資向けの融資で失敗したくない方は、ぜひこの記事を最後までご確認ください。

目次

【不動産投資】不動産賃貸業向け融資で事業計画書が必要な理由

金融機関が融資の審査をする場合、たいていは事業計画書があった方が、審査にプラスに作用します。

融資に限らず、資金調達の際はかなり複合的な要素から判断されるため、詳細なデータがあるに越したことはありません。

金融機関が独自に調査するデータだけの場合、有利な情報が織り込まれずに漏れたり、リスクを過度に見積もられたりすることもありえるからです。

つまり「不当に厳しめに評価される」可能性があるという事です。

審査においては、一言で言えば『返せるかどうか』が最も重要で、そのための構成要素を分解して精査されますから、より適正な情報をそろえておきたいですよね。

中でも特に、直接的な返済原資の源泉であり、さらに変動の余地の大きい売上の根拠は重要になります。

事業計画があった方がいい理由をまとめると、主に以下のようなものがあります。

事業計画書が必要な理由
  • 損益や収支が整うことを説明できる
  • 家賃収入(家賃相場)の金額的根拠を説明できる
  • 入居募集の容易さを説明できる
  • 立地的な優位性を説明できる
  • 地域的なリスクと回避策を説明できる
  • 間取りや不動産の構造を説明できる

上の表にある通り、売上(家賃収入など)の根拠は把握するのが難しい場合が多く、金融機関が独自で調査する手間が省けたり、あるいは補完できたり、厳しく見られることを防止する効果があるでしょう。

また不動産の場合には、立地、物件の間取り、地域柄などなど、細かい点を調べるのは手間がかかりますので、あらかじめこちらで提示すると喜ばれる事も多いです。

さらに、最も重要なのは、損益(もうけ)と収支(お金の出入り)の詳細なシミュレーションにより、返済(約定弁済)に問題が無いかの証明ができることです。

具体的に数値的根拠と共に細かいく確認する必要があります。

損益や資金繰りなどは金融機関は独自のフォーマットで作製する事が多いですが、あらかじめ損益計画や資金計画を作成することで、計画性をもった事業運営をしているというアピールにもなります。

なお、言うまでもありませんが、でっち上げて資料を作るなどはもってのほかです。

そもそも論として収支が成り立たないのであれば投資をしない方がいいですし、金融機関に求められずとも、投資にあたっては詳細なシミュレーションをすべきです。

【不動産投資】融資で事業計画書を作るメリットやデメリット

不動産投資向け融資で事業計画書を作成するメリットに総じて言えるのは、『明確になる』ということです。

つまり、言い換えると、見える化して『問題ない事を知っていただく』ことが容易になるとも言えます。

なお、デメリットは手間がかかるという事を除いて特にないため、ここでは割愛し、メリットのみを紹介していきます。

不動産融資で事業計画書を作るメリット①:返済計画が明確になる

不動産向けの融資の事業計画で事業計画書を作るメリットの1つ目は、返済計画を明確にできることです。

返済した上でも十分に資金がまわるということを説明できるメリットは大きいです。

金融機関が自ら作成する場合には、資金の流れを厳しめにみられる可能性も十分にありえます。

とりわけ、不動産については、かなり厳しめにみる金融機関が多いと思っておいた方がいいでしょう。

不動産融資で事業計画書を作るメリット②:収入の根拠が明確になる

不動産向けの融資の事業計画で事業計画書を作るメリットの2つ目は、収入の根拠を明確にできることです。

損益や収支の計画を立てる上で、最も数値的な根拠を提示する事が難しいのが、収益部分、つまり売上(不動産賃貸業の場合は家賃収入)の根拠です。

この根拠は可能な限り徹底的に掘り下げた方がいいです。

家賃相場の根拠を示すためにヒアリングしたり比較したり、あるいは客付け調査を行いその旨を記載したり、立地の条件を調べ上げたり、といった具合です。

これにより最も不安定な部分である売上の根拠をより明確にすることが出来ます。

不動産融資で事業計画書を作るメリット③:優位性や差別化が明確になる

不動産向けの融資の事業計画で事業計画書を作るメリットの3つ目は、優位性や差別化の内容を明確にできることです。

この場合は融資の対象物となる取得する不動産の優位性や差別化できそうなポイントなどです。

例えばペット可にして家賃の増額を狙ったり、広告費をはずんで客付けを強化するなど、独自の方法論は多くあります。

それらを明確にしておくことで、戦略や、経営スタンスを理解してもらうことが出来ます。

日本は空き家問題も深刻になるほど不動産が余ってきているため、差別化ポイントや優位性をアピールするのは重要と言えます。

不動産融資で事業計画書を作るメリット④:細かくシミュレーションできる

不動産向けの融資の事業計画で事業計画書を作るメリットの4つ目は、損益や収支の計算を細かくシミュレーションできることです。

前にも少し触れましたが、厳しめに見られると不利になるのは言うまでもありません。

あかかじめこちらで細かい部分までシミュレーションしておくことで、より実態に近い計画書を作成し、不当に厳しめに新される事を防ぐことができます。

場合によっては、周辺の客付け状況から空室リスクを見積もる際(ストレス計算など)に、より良い形で織り込めるという事もあるでしょう。

不動産融資で事業計画書を作るメリット⑤:計画性をアピールできる

不動産向けの融資の事業計画で事業計画書を作るメリットの5つ目は、計画性をアピールできることです。

融資先として審査する場合に、その会社がずさんな管理体制であったり、計画性がなかったりという場合には、言うまでも無く融資先としてふさわしくありません。

しっかりと計画性を持って、リサーチした上でリスクを最小化して事業を進めているという印象を与える事は、融資の審査でかなり有利に働くでしょう。

ただし、専門家に計画だけを作ってもらって、内容を全く理解していないという事がないようにしてください。

当社で事業計画を作製する場合も、お客さんが理解するまでしっかり説明し、ご自分の言葉で説明できるように説明や打合せをしています。

綿密な計画を立て、それをしっかりと説明できる事で、より信頼性は向上します。

【不動産投資】不動産融資の事業計画書の書き方や内容を解説!

※各項目をクリックすればジャンプできます

では、不動産向け融資の事業計画書には、実際にどのような内容を記載して提出すればいいのでしょうか。

さっそく、書類の書き方(具体的な記載内容)について触れていきましょう。

主な内容としては上記の一覧にあるような項目になりますが、これだけでは分かりづらいと思いますので、それぞれ順番に解説していきます。

不動産融資向け事業計画の記載内容①:不動産賃貸事業をする目的

不動産向け融資の事業計画書に書きたい内容の1つ目は、事業の目的です。

創業融資の場合は、創業の目的としてもいいかもしれませんね。

そもそも何のために不動産事業を始めたのか、どのような目的でやっているのか、といったことです。

言うまでもありませんが、不労所得を目指すため、だったり、金融資産と同じような目線での投資先として、のような主張は避けた方がいいでしょう。

できる限り実業として、不動産賃貸業という事業を経営しているという意識が必要かと思います。

不動産融資向け事業計画の記載内容②:経営者の経歴やプロフィール

不動産向け融資の事業計画書に書きたい内容の2つ目は、経営者の経歴やプロフィールです。

経営者の方がこれまでにどのような経歴や実績があり、実務経験や経営経験はどのようなものがあるのか、説明したいです。

特に日本政策金融公庫(国民生活事業)の場合は、かなり実務経験を重要視する傾向があるため、実務経験がある場合には、しっかりと書いておきたいです。

最終学歴から書き始め、実際に身に付けた実務上の能力を詳しく書くようにしましょう。

なお、仮に不動産と全く関係のない業種であっても、マネジメントの経験や社会人としての経験は経営に役立ちますので、しっかり書くようにしましょう。

不動産融資向け事業計画の記載内容③:事業の概要と戦略

不動産向け融資の事業計画書に書きたい内容の3つ目は、計画における事業の概要や、戦略などです。

どのような戦略で進めるのか、どのように差別化するのか、どのようにリスク管理するのか、なども含みます。

今後の成長戦略のイメージや、目指すべき規模感や到達するスピードなど、パターンは無限にあるため、これといった正解は無いと言えます。

経営理念や哲学のような事もある程度は書いてもいいかもしれませんが、あまり抽象的な事に終始してしまうと、具体性に欠ける印象を与える可能性があるため注意が必要です。

不動産融資向け事業計画の記載内容④:家賃相場分析

不動産向け融資の事業計画書に書きたい内容の4つ目は、家賃相場の分析です。

これは取得する不動産の家賃収入がどのくらいの収益(家賃収入)を得られそうかを分析するという事になります。

様々な方法があるかとは思いますが、近隣の不動産会社に徹底的に聞き込みするとか、近隣の物件を調べ尽くすとか、ある程度の傾向を把握する手段は複数あります。

家賃収入の金額的な根拠を示すために、しっかりとデータを基に分析し、それを表現しておいた方がいいでしょう。

不動産融資向け事業計画の記載内容⑤:客付けリサーチ

不動産向け融資の事業計画書に書きたい内容の5つ目は、客付けリサーチです。

前項とセットでいいかもしれませんが、不動産賃貸業の最大のリスクとも言える空室リスクを、いかにして減らすかも重要です。

オーナーチェンジ物件の場合は別ですが、物件を購入してリフォームまで完了し、いざ客付け募集をかけてもいっこうに入居が決まらないという事では困ります。

このリスクを最小化していることをアピールしたいですね。

これも聞き込み調査によって、不動産業者など専門家の意見を確認して記載しておけば、客観的で合理的根拠を持った資料になるでしょう。

不動産融資向け事業計画の記載内容⑥:資金使途の説明

不動産向け融資の事業計画書に書きたい内容の6つ目は、資金使途の説明です。

つまり、借りたお金を何に使うのかの説明で、これを明確にしておく必要があります。

不動産の場合は設備資金になるため、物件の取得費用に対しては買い付け証明、リフォーム費用に対しては見積書、などのエビデンスを求められます。

何に対して投資して、その投資をどのようにして回収するのか、しっかりと計画的に行う必要があります。

なお、融資時に申し込んだ資金使途と別の事にお金を使った場合、資金使途違反として、下手すると一括弁済を求めらる可能性もあります。

また、最悪は二度と取引が出来ないようなこともありえるため、設備資金で借りたものを運転資金で浪費してしまう、というようなことは絶対に避けないといけません。

不動産融資向け事業計画の記載内容⑦:必要な資金と調達方法

不動産向け融資の事業計画書に書きたい内容の7つ目は、資金計画の説明です。

事業全体の資金がどれだけ必要で、それをどのようにして調達するのかを明確にしておく必要があります。

自己資金で捻出する部分、融資をお願いする部分、その他の方法があればそれらもしっかり区別して表示しておきましょう。

なお、最近ではある程度の自己資金を求められる傾向にあるため、融資の申し込み先に応じて、あらかじめ自己資金部分を計算に入れておいた方がいいでしょう。

資金計画も明確にして、自らもしっかりリスクを取るような計画にしておけば好印象になります。

不動産融資向け事業計画の記載内容⑧:損益・収支のシミュレーション

不動産向け融資の事業計画書に書きたい内容の8つ目は、損益や収支のシミュレーションです。

最後になりましたが、自分の考えではこの部分、つまり数値的な根拠が最も重要と考えています。

より細かい計算をするために、エクセルなどで計算し、別紙の添付資料とした方がスマートかもしれませんね。

あまりにも細かすぎて見づらいのもよくないため、なるべく誰が見てもわかるように適度に要約して作成しましょう。

全体的に見やすく、かつそれなりの精度で計算ができるよう、バランスを考えながら作成したいところですね。

損益は損益計算書を、収支は資金繰り表を、それぞれ月次推移で作製すると、見やすい資料になるでしょう。

【不動産投資】不動産融資の事業計画書で注意すべき4つのポイント

不動産投資向け融資の事業計画書を作成する上で、気を付けたいポイントをいくつかご紹介します。

これまでに説明してきたことと重複する面もあるかと思いますが、確認してみてください。

場合により、融資の計画書に限らず、というものもありますが、気を付けて作成しましょう。

事業計画書で気を付けたいポイント①:数値的根拠を明確にする

事業計画書で何よりも大切なのは、やはり数値的な根拠です。

これを明確にせずに、いくら文章で説明したとしても、薄っぺらなものになってしまいます。

事業として成り立ち、返済が滞りなく行われれるということを、数値的な根拠からしっかり証明していきましょう。

事業計画書で気を付けたいポイント②:売上の根拠は徹底的に掘り下げる

既に説明しましたが、売上の根拠はどこまででも深く掘り下げてください。

より客観的な数値であるとか、データに基づく数値であるとか、何かしらの合理的な根拠をしっかり示すことで確度の高い計画書になります。

収入は全ての源泉なので、これが崩れると計画そのものが成り立たなくなります。

掘り下げすぎて悪い事はありませんから、しっかりと調べて根拠のある数値でシミュレーションを行うようにしましょう。

事業計画書で気を付けたいポイント③:難しい専門用語は避ける

事業計画を作成する側はその業界を熟知していたとしても、計画書を読む側が業種や業界に詳しいとは限りません。

用語や難しい表現を使う事で能力を誇示する必要は全くありませんし、むしろ調べる手間などがかかってしまうこともありえるため、マイナスになります。

読む側がストレスなく読めて、スムーズに理解が進むように配慮しましょう。

どうしても表現上必要な難しい言葉などは、注釈を加えるなどして配慮しましょう。

事業計画書で気を付けたいポイント④:なるべく簡潔にまとめる

事業計画書を作成する上で、なかなか難しいのが、シンプルにすることです。

要約して簡潔にまとめるのはかなりスキルが必要ですが、全体像をわかりやすく表現できたら読み手の理解もすすみます。

サマリーと詳細の二段構えで作製するなども一つの手段です。

また、読む側も忙しい方が多いですから、あまりにも枚数が多いと読むのも嫌になります。

その意味からも、できるだけ簡潔にまとまるように全力を注ぐようにしておきましょう。

【不動産投資】不動産向け融資の事業計画書の作成に迷ったら専門家へ!

不動産投資向けの融資も事業計画書の有無でかなり成否が変わってくることが、ここまでの説明でなんとなくイメージできたのではないでしょうか。

できる限りご自分で作成し、ご自分の言葉で説明するのが一番です。

しかし、細かい計算などが難しいという事も多いため、専門家に委託するのも一つの手段です。

もし心当たりがない場合は、当社でも「事業計画書の作成や融資のコンサルティング」を豊富な知識と実務経験を背景に、充実したサポート体制で受け付けております。

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よければご確認の上、ぜひご検討ください。

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【不動産投資】不動産賃貸業向け融資のコンサルや事業計画書についてまとめ

この記事では、不動産投資向けの融資に事業計画が必要か、またそのメリット、さらには書き方についてもご紹介しました。

融資の審査は、かなり多くの要素を確認しつつ、複合的に判断しています。

事業計画を作成する際にはぜひこの記事を活用してみてください。

なお、日本政策金融公庫での不動産融資に関しては「【不動産投資】日本政策金融公庫の不動産融資は事業計画書が必要?記載内容や創業計画書の記載例まで解説!」でご紹介しております。

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