不動産賃貸業(不動産投資)でも運転資金を借りたいという需要は多いのではないでしょうか。
しかし、結論から言うと、不動産賃貸業で運転資金を借りるのは難しいと言えます。
とはいえ、例外は存在しますので、不動産賃貸業で運転資金の融資が難しい理由と共に、例外についても触れて行きます。
なお、ここでは「不動産賃貸業」に絞って解説しますので、「売買」や「仲介」などを行う場合の融資については考慮外とさせて頂きます。
まずは解説!不動産賃貸業の運転資金とは?
運転資金の概要:
- 物件の仕入れ費用
- 人件費
- 維持管理費
運転資金の重要性:
- 事業運営の中心的な要素
- 資金繰りの円滑化に不可欠
運転資金とは、不動産賃貸業などの企業も含め、日常的な運営や事業活動を行うために必要な資金のことを指します。
一般的に運転資金といえば、物件の仕入れ費用や人件費、維持管理費などが含まれます。
運転資金は、事業運営の中心的な要素であり、資金繰りを円滑に進めるために欠かせないものです。
不動産賃貸業(不動産投資)で必要な資金は主にこれらです
不動産賃貸業で必要な資金について簡単に説明します。
資金が必要な理由
新たな物件の取得・改修・維持管理費
- 新しい物件を購入する費用
- 物件の改修やメンテナンス費用
空室リスク・家賃滞納リスクに備える資金
- 入居者退去時に発生する空室期間のリスク
- 入居者からの家賃滞納に備えるための資金
突発的な出費に備える資金
- 急な修繕や改修が必要になった場合の資金
資金の分類
資金分類 | 主な用途 |
---|---|
運転資金 | 日々の業務遂行、賃貸物件の管理・運営、空室対策、修繕費 |
設備資金 | 物件取得費用、大規模修繕費 |
その他の費用 | 借入金利、税理士費用 |
運転資金
日々の業務遂行に必要な資金
- 賃貸物件の管理・運営費用
- 空室対策費用
- 修繕費
設備資金
- 不動産物件そのものや設備の購入費用
- 物件の取得費用
- 大規模な修繕費
その他の費用
- 借入金利
- 税理士費用
- その他の細かい費用(詳細は割愛)
運転資金は日々の業務遂行に必要な資金で、賃貸物件の管理・運営費用、空室対策費用、修繕費などに使われます。
設備資金は、不動産物件そのものや設備の購入費用、物件の取得費用、大規模な修繕費に充てられます。
その他、借入金利や税理士費用なども必要です。
このように、不動産賃貸業では運転資金と設備資金の両方を適切に管理し、リスクに備えることが重要です。
不動産賃貸業における運転資金の借入が難しい理由
主な理由:
- 銀行が慎重であること
- 不動産賃貸業は現金の回収スピードが速く、前家賃が多いため
- 設備費用としての融資が基本スタンス
運営者の視点:
- 入退去コストや空室リスクに備えるための流動性資金の必要性
不動産賃貸業における運転資金の借入が難しい主な理由は、銀行がこの分野の融資に慎重であることです。不動産賃貸業では信用取引がほとんどなく、家賃は前払いが多いため、運営費用を確保できると見なされやすいです。
また、多額の修繕費は設備費用として申し込むことが一般的です。しかし、実際の運営では入退去に伴うコストや空室リスクもあり、手元流動性資金を十分に確保しておくことが重要です。
基本的には借入が難しいですが、例外もあるため、次章で詳しく解説します。
不動産賃貸業の運転資金は公庫でも難しい?
公庫の傾向:
- 中小企業や個人事業主への融資を行うが、不動産賃貸業の運転資金の融資は難しい
- 設備資金や大規模修繕費用に対する融資を重視
成功のための準備:
- 詳細な事業計画書
- 確実な収益計画
- 保証協会付きの融資の検討
不動産賃貸業における運転資金の借入は、公庫でも容易ではありません。公庫は中小企業や個人事業主に融資を行いますが、不動産賃貸業は運転資金の必要性が低く見られるため、融資が難しい傾向にあります。
公庫は主に設備資金や大規模修繕費用への融資を重視するため、運転資金のニーズが理解されにくいのが現状です。
公庫から運転資金を借りるためには、詳細な事業計画書や確実な収益計画を提示し、資金の具体的な使用目的とその必要性を明確にすることが重要です。また、保証協会付きの融資を検討することも一つの方法です。
公庫からの融資を成功させるには、しっかりとした準備と説得力のある説明が求められます。
不動産賃貸業での運転資金借入の成功に向けて
必要な準備:
- 事業計画書の作成
- 過去の業績や融資返済の実績の整理
- 銀行との良好な関係構築
- 公的金融機関の活用
効果的な借入のためのポイント:
- 適切な開示とアピール
- ノンバンクの保証を活用した融資の検討
不動産賃貸業で運転資金を借りるには、銀行との良好な関係構築と適切な準備が必要です。保証協会などの公的金融機関を活用すると、借入がスムーズになります。
運転資金を借りる際には、事業計画書、過去の業績、融資返済の実績を示し、「保証協会付け」で申し込むと少額の融資が受けられることがあります。
効果的に運転資金を借入するためには、事前準備が重要です。具体的には、適切な事業計画書の作成、過去の業績や融資実績の整理が必要です。これにより、金融機関に安心感を与え、融資が受けやすくなります。
事業規模が拡大すれば、金融機関も前向きになります。銀行との良好な関係を保持し、定期的なコミュニケーションを取ることで信頼関係を築き、融資を円滑に進めることが成功の鍵です。
不動産賃貸業における運転資金の融資の成功事例の分析
成功事例:
- 信金信組での保証協会付け融資
- 少額資金の融資からスタート
成功のための要素:
- 金融機関の支店や担当者の前向きな姿勢
- 会社のビジョン、現在の状況、今後の計画の適切なアピール
- ノンバンク保証の活用
成功事例としては、信用金庫や信用組合を中心に、保証協会付けの融資を成約させることです。まずは100万円や200万円の少額融資から始めるのが良いでしょう。このような場合、金融機関の支店や担当者が不動産賃貸業への融資に前向きであることが重要です。
運転資金は不動産賃貸業でも必要ですが、借入のハードルが高いため、根気強く交渉する必要があります。粘り強く交渉すれば、意外に融資が実現することもあります。会社のビジョン、現在の状況、今後の計画をしっかりアピールし、適切に情報を開示することが重要です。
最近では、ノンバンクが保証することで、地方銀行が運転資金を融資するケースも増えています。よく調べて、上手に借りられるようにしましょう。
なお、詳しくは当社でも融資や会計に関するご相談を受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。